中小企業における資金調達
会社を経営する上で、常に持つべきものは「資金」です。
資金が不足してしまうと、
- 日々の運転資金を確保できずに黒字倒産する
- 事業を拡大することができない
といった事態に繋がります。
資金力が豊富な大企業であれば、日々の経営において資金に関する心配はまったくないかもしれません。
資金が必要となった場合でも、もともと資本や実績、そして信用のある大企業が銀行から多額の融資を受けるのは容易いことです。
しかし一方で、大きな実績がなかったり、創業して間もなかったりする中小企業の多くは、この「資金繰り・資金調達」に頭を悩ませているのです。
最近は一昔前と比べても景気が良いとは言えず、銀行もこうした中小企業に対しては厳しい審査を行います。
少額の融資であれば実行してくれる銀行も、その額が大きくなればなるほど審査が厳しくなるようです。
新しい資金調達
今回は、銀行から満足のいく融資を受けることができず、資金調達に悩んでいる中小企業にピッタリの、新しい資金調達法を2つご紹介します。
ソーシャルレンディング
近年、一部の企業の間で広がりつつあるのが「ソーシャルレンディング」というサービスです。
このサービスでは、ソーシャルレンディング運営会社が仲介役となり、貸し手となる個人投資家と、借り手となる企業とを繋ぎます。
借り手は、ノンバンクによるビジネスローンと比べると、少ない金利負担で融資を受けることができます。
また、貸し手である投資家たちは、通常の投資よりも高い利回りを得られるのです。
ソーシャルレンディングを活用した融資の主なメリットとして
- 企業の実績よりも事業(プロジェクト)を基準に審査される
- 審査結果が早く、融資実行までの時間が短い
の2つが挙げられます。
しかし、このサービスに先走る前に考慮しなければならないデメリットがあります。
上で少し触れていますが、「金利」です。
ソーシャルレンディングでは、10%前後の金利が一般的となっています。
この数字には
- 運営会社に対する手数料
- 投資家へのリターン(案件によって変動します)
が含まれています。
これに対して、6~18%がノンバンクによるビジネスローンの金利の相場です。
一般的に初めての融資では、18%のように各社が設定する上限の金利が適用されるので、ソーシャルレンディングではこちらよりは低い金利で受けられます。
ですが、銀行から融資を受けた場合の金利の相場が3%前後となっているため、金利負担は十分大きいと言えます。
事業が思っていたほど上手く進まず、返済に苦労してしまう例も少なくないので注意が必要です。
どこの事業者がいいの?
現在国内でソーシャルレンディングを扱うのは15社程度です。
ソーシャルレンディングサービスを運営するには第二種金融取引業の登録が必須で、ベンチャー企業が簡単に参画できるような業種ではありません。
そのため、ソーシャルレンディング業者はすべて金融庁の許可を受けていることになります。
しかし、そのすべてが優良企業かと言えばそうでもないのが現実のようです。
中には、集めたお金を横領したり目的外使用が多発するなど問題を抱えるサービスもあります。
ソーシャルレンディングを検討する際は「ソーシャルレンディング比較」を参考にするなど、各社の良し悪しを把握するようにしましょう。
クラウドファンディング
「クラウドファンディング」では、インターネット上で不特定多数の人から資金を調達することができます。
日本では2011年に始まり、当時は社会貢献の事業による資金集めが多い印象でした。
そこから年月が経つにつれて市場規模が拡大し、最近では中小企業が事業拡大のためにクラウドファンディングを活用して成功する事例も多く見られます。
このサービスを利用して資金調達するメリットは多くありますが、その中でも特筆すべきは、
- 成功報酬制のため、サービス利用時にはお金が掛からない
- ネット上で募集するため、魅力的な事業であれば多額の資金を集められる
という点です。
資本も実績もない中小企業にとっては非常に利用しやすいサービスとなっています。
一方で、
- 「すぐに」または「確実に」資金が集まるとは限らない
- 事業のアイディアを盗まれる可能性がある
といったデメリットも考えられるので、頭に入れた上で利用しましょう。
まとめ
以上2つが、中小企業が利用できる資金調達の新しい手段です。
しかし、クラウドファンディングの説明の中で少し触れましたが、実績がないのであれば、その分、魅力的なアイディアや実行可能性を伴う事業計画を立てる必要があります。
ソーシャルレンディングにしてもクラウドファンディングにしても、投資家を始めとする不特定多数の個人から資金を募ることになります。
彼らが支援したくなるような、心からワクワクする夢(事業)を計画した上でこういったサービスを活用しましょう。